30代になってから、体臭がきつくなってきました。特に、脇の臭いが酷いのです。会社では、人と会う機会が多く、エチケットの面に気を使わなければなりませんでした。でも、どうしても半袖になる夏の季節には、袖の間から脇の臭いがぷーんと放出されてしまうのでした。
自分では、消臭剤を付けたり、体臭を消す事ができる石鹸などを買っては努力をしていました。でも、その日に限って、とても脇の臭いが酷かったのです。お客様が来て、大事な話を向き合って話していました。私が腕を上げた途端、脇からあの独特な臭いが辺りに漂ってしまいました。その脇の臭いは、臭い事といったらありません。
会話をしていたお客様の顔が歪み、もう一人のお客様は何があったのかと辺りを驚いた顔で見回していました。相手も大人なので、騒ぎません。でも、明らかに鼻を止めているかの様な顔をしながら話をしています。「やってしまったあ」と心の中で呟きながら、その日は終わりしました。
私の脇の臭いを気にする同僚も多く、私が近くに寄れば、脇を見る人が多かったです。なるべく近寄りすぎずに、ちょっと遠いところから話すように努力しました。でも、上司と仕事帰りに食事に行った時、「君ね、脇の臭いが酷いよ。もうちょっとなんとかならないの?」と言われてしまいました。上司にまで言われてしまい、本当にショックでした。
でも、仕事をしている間に、脇の臭い臭いが漂ってくれば、やはり仕事に集中する事ができなくなってしまうだろうなと思うのです。申し訳ない気持ちになり、その職場を辞めてしまいました。アルバイトをしようと、色々と仕事を探しました。レストランなどの賄いが付いている場所で働きたかったのですが、どうしても脇の臭いを考えれば、ちょっと無理だよなあと思ってしまうのです。
そこで、工場のアルバイトに応募する事にしました。アルバイトに行って、流れ作業を開始しました。物が次々から流れて来るベルトコンベアーの前に立ち、作業をしていきます。チェックをする作業で、とっても簡単な仕事です。お昼を食べて、午後になりました。「もう少しだから頑張るぞう」と思いながら仕事をしていると、少し離れた場所にいるアルバイトの男性が顔をしかめています。
「まさか」と思いつつ、よく鼻をこらしてみると、脇の臭いがしてくるではないですか。マスクをしていて気が付かなかったのですが、よく鼻をこらせば、あの臭いがしてきます。しっかりとした作業着に体も包まれているのですから、脇の臭いは漂わないだろうと思って気を抜いていました。ところが、その作業着が通気性が悪いために、脇の通気性も悪くなってしまったのです。
汗をどんどんかいてしまい、その臭いがより臭くなってしまったのです。全身を包む作業着では、脇を拭く事もできません。焦りで脇から汗がどんどん出てきてしまいます。より臭いが酷くなり、汗がタラタラと流れてしまいます。そのままアルバイトが終わる時間まで耐えました。
そのアルバイト先へは、10回ほど行って辞めてしまいました。このように、行く先々で辺りの人の臭そうな顔をしている表情を見てしまうと、行きずらいなあと思ってしまうのです。長く続けたいなとは思うのですが、なかなか行きずらくなってしまいます。
加齢臭も30代になってから除々に酷くなってしまい、非常に困りました。全身から脂の腐ったような臭いがしてきます。その臭いの臭い事と言ったらありません。彼氏とデートに行った時、彼氏の格好いい車でドライブをしていました。天気の良い海沿いを、素敵な曲をかけながらドライブをしていたのです。でも、冬場なのに、彼氏は車の窓を開けています。
寒いし、外からの音がうるさくて、彼氏と静かに話す事ができません。「窓、閉めないの?」と聞いても、彼氏は無視しています。「寒いから閉めて」と何度も言うと、彼氏が窓を閉めました。少し経つと、なんだか臭いがしてきます。おじさんの様な臭いが車内に漂い、気持ち悪くなってきてしまいました。そうなのです。私の加齢臭が車内に漂ってしまっていたのです。
あの加齢臭というものは、自分ではなかなか気が付きません。彼氏は、いち早くその臭いに気が付いていたのでした。恥ずかしいのと申し訳ないのとで、せっかくのデートも楽しくなくなってしまいました。彼氏に、「ちょっと車を停めて」と車を停めてもらい、外に出ました。新鮮な空気を思いっきり吸ったら、気分も明るくなりました。近くにあるトイレに駆け込み、消臭剤を全身に振り掛けました。鼻の中に入ってしまい、おもいっきり咽てしまいました。咽た拍子にドアにオデコをぶつけてしまい、タンコブができてしまいました。
頭をすりすりしながら、彼氏とデートをしました。その日のデートはテンションも上がらず、ちっとも楽しくなくなってしまいました。彼氏とデートをする時には、体中に消臭剤をふりまき、頑張って体臭を消していました。でも、結局は彼氏と別れてしまうという結末になりました。